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NO.003
パッシブデザインと採光
快適な住まいを実現する要素に「パッシブデザイン」や「採光」があります。
家が明るいと、気分が晴れやかになるだけでなく省エネや節電にも繋がります。
そこで今回は「パッシブデザインと採光」をテーマに、その概要や実現するポイントについてご紹介します。
まずは「パッシブデザイン」「採光」これら二つの違いを知り、それぞれの特徴を理解しましょう。
パッシブ(passive)は直訳すると「受動的」「受け身である」といった意味を持っています。
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「パッシブデザイン」とは…
太陽の熱・光・風といった自然エネルギーを、機械を使わずに建物に利用する設計手法のこと。
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家づくりの場合、例えば家の外と中の温度差を利用する温度差換気や、風圧の差を利用する風力換気がパッシブデザインの例です。
パッシブデザイン住宅には、5つの設計項目があります。
それぞれの目的や仕組みは以下の通りです。
≪パッシブデザイン住宅の5つの設計項目≫
1.断熱
外からの熱を遮断することで冬は暖かく、夏は涼しさを感じさせるため、1年を通して快適に過ごせます。
2.日射遮蔽
窓から直接入る太陽光を遮ることにより、夏場に室温が上がりすぎるのを防ぎます。
3.日射熱利用
うまく日差しを取り入れられる工夫をすることで、冬場の暖房利用を最低限で済ませます。
日射熱ばかりにこだわると夏場に暑くなってしまうので、夏冬の両方を考慮したデザインとなります。
4.通風
間取りや壁の位置、窓の大きさや場所等を工夫することで自然の風を取り込みます。
5.昼光利用
日中に太陽の光を取り入れやすい構造にすることで、電気を付けなくても明るい家が実現します。
~近年注目されるパッシブデザイン~
性能が高い家といわれると、ZEH住宅を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
パッシブデザイン住宅はZEH住宅とは異なり、エネルギー生産と消費の収支について明確な基準がありません。
そのため、
・高気密・高断熱住宅にしたいものの設備投資に費用をあまりかけられない場合
・設備よりも自然エネルギーを活用したいと考えている場合
などに、パッシブデザイン住宅が向いているといえます。
そして、次にご紹介する「採光」をうまく取り入れることもパッシブデザインの一つです。
人が暮らす環境において、採光は換気ともにとても重要な要素です。
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「採光」とは…
窓などの開口部から自然光を取り入れて室内を明るくし、建物の中の環境を整えること。
別名「自然照明」「昼光照明」ともいう。
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そのため、建築基準法では「採光に有効な窓などの開口部を居室の床面積の7分の1以上設けること」と定められています。
・採光に配慮した家は南向きでないといけない?
・周囲に高い建物があるから採光に配慮するのは難しい…
このように採光に対してハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。
ですが、どんな土地でも適切な採光計画を立てることは可能です。
室内に取り入れる「自然光」は必ずしも直射日光を意味しないため、日が差さない北側の窓でも採光に有効な窓として扱われます。
窓が北側でも、自然光の一つである「天空光」として十分に取り入れることが可能です。
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「天空光」とは…
太陽光のうち、大気中の水蒸気や塵によって拡散されるか雲から反射されてから地面に到達するもの。
方向性のある直射日光と違って均一である。
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そのため北側の窓でも、気候に大きな影響を受けずにやわらかい光を安定して一年中得ることができます。
ここからは具体的に、採光に配慮した家づくりを行うポイントをご紹介します。
うまく採光を取り扱うことができれば、昼間は電気をつけなくてよい家になり、節電・省エネにも繋がります。
窓の種類は20種類以上あり、一般的に窓の面積が大きくなるにつれてコストも高くなっていきます。
日本の家でよく使われる窓には、例えば以下の種類があります。
【引き違い窓】
日本で最も多く使用され、開けている場合でもスペースを必要としません。
【縦すべり窓】
窓に対して並行に吹いている風を多く室内に取り込みます。
【横すべり窓】
庇のような角度で雨が入りにくいです。
【FIX窓】
開閉できない窓のことで、吹き抜けにもよく使用されます。
例えば家に吹き抜けを作ると、FIX窓で天窓や高窓を作ることができるため、周囲に高い建物があっても太陽光を取り入れられます。
また、横に2枚以上並べた縦すべり窓は引き違い窓よりも風の通りが良くなります。
採光が必要な場所に比較的取り入れやすく、部屋のアクセントにもなります。
採光をうまく取り扱うためには、ただ大きな窓をたくさん設置すれば良いというわけではありません。
部屋の用途に合わせて検討する必要があります。
【寝室の場合】
寝室を昼間に使用することは少ないため、日当たりの良い南向きに作る必要はありません。
【子供部屋の場合】
小さな子供が過ごす子ども部屋は、快適な空間にするためにも比較的日当たりの良い場所につくるのが良いでしょう。
ただ子供の手の届く範囲に窓が設置してあると、親が目を離している隙に子供が勝手に窓を開け、窓から転落してしまう危険性があります。
そのため、高さ1m以上の位置に設置する・引き違い窓の使用は避けFIX窓にするといった工夫をする必要があります。
【キッチンの場合】
直射日光で食材を傷めないようにするため、また壁面には収納を設置することが多いため、キッチンの窓は小さくすることがあります。
また手元灯を付けることも多いので、キッチンの明るさは窓と照明を合わせて計画するのが良いでしょう。
自然光はどの角度からも一定に光が当たるわけではなく、角度によって光の入り方が異なります。
そのため、同じ部屋でも場所によって明るさに違いが生じる可能性があります。
そういったケースを防ぐために重要なのが家具の配置です。
設計の段階で部屋のどの場所で過ごす時間が長いのかをイメージして家具の位置を決め、それに合わせて窓を配置しましょう。
【ソファ】
窓に対してソファを直角に置くレイアウトは、部屋の広がりを感じやすいため一般的です。
テレビを置く場所に自由が利く上、見るときに窓からの光の影響を受けにくいため、テレビを見て過ごす時間が長い方におすすめです。
狭い部屋の場合、腰高窓にして窓よりも低い高さのソファを選ぶのがおすすめです。
窓の手前にソファを置くことで、採光量を減らさずに部屋を広く感じさせることが可能です。
【ダイニングテーブル】
窓際にダイニングテーブルを置くことで外の景色を見ながら食事をすることができます。
またテーブルの隅に観葉植物を置くことで、日当たりの良い場所で育てながら緑を眺めることができます。
このように、あらゆる観点から採光や風通しを考えることで、パッシブデザインを取り入れた家づくりをすることができます。
パッシブデザインや採光を活用して、快適な住まいづくりを実現してみてはいかがでしょうか。
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