• 家づくりの基礎知識 地鎮祭・上棟式編

    NO.005

    家づくりの基礎知識 地鎮祭・上棟式編

    家づくりの基礎知識 地鎮祭・上棟式編

まっさらな土地に注文住宅を建てる際、竣工の前や最中に工事の無事や築物の安全を願って行う儀式のことを「上棟式」「地鎮祭」といいます。
儀式と聞くと、どこか古めかしいイメージを持つかもしれませんが近代化のすすむ現代の日本でも続いている風習です。
古来より日本では、国土が狭いうえに農耕民族であったため、土地の縄張り争いが至るところで行われてきました。
しかし本来、土地というのは神様のものであり、私たち人間が土地を借りて田植えをしたり、家を建てたりしているという考えが古くから伝えられています。
よって、土地に家を建てる前には神様の許しを得て、その土地で起こった出来事を浄化するという意味合いで行うのが「地鎮祭」なのです。
「上棟式」とは、家の土台となる棟木を取り付けたあとに、竣工後の安全を願って行われる儀式です。
地鎮祭でいう「神様をねぎらうお祭り」というよりは、建築職人の労をねぎらい、工事関係者へのご挨拶という側面が強いものです。
ですので地鎮祭よりは地域によって意識が薄い場合もあるようです。

では、実際に何が行われるのか、費用はどの位かかるのかについてお伝えしていきます。

家づくりの基礎知識 地鎮祭・上棟式編

一般的な地鎮祭の流れは、以下のように進行します。

① 清め祓い…儀式の初めに参列者とお供え物を祓い清める。
「神様が君臨する前に失礼のないように」という意味で、神主によって「おお~ん」という雄叫びが上げられる
② お供え物の献上…神前のお供えに、御神酒と水を差しだす
③ 祝詞…家を建てることを土地の神様に告げ、工事の安全を 願うことばを申しあげる
④ 四方祓い…神主が敷地中央、四隅を米・御神酒・塩・白紙で清める
⑤ 地鎮…祭壇の横に盛られた砂山で行う儀式
⑥ 玉串拝礼…参列者が一人ずつ祭壇の前に立ち、玉串を捧げる
⑦ お供え物の撤収…神主がお供え物をお下げする
⑧ 昇神…神様が元の座にお戻りいただくための祭儀。神主が「おお~」と2度目の雄叫びを上げる
⑨ 御神酒の乾杯…施主の挨拶のあと、神主の音頭で乾杯

上棟式は地鎮祭のように神主を呼ばないため、主に職人が進行役であることがほとんどです。
現在の上棟式では職人をもてなすという意味合いが強いことから、必要なものは施主側で準備する必要があります。
式典で用意するものは、上棟の儀でまく塩・洗米・酒一升、山の幸や海の幸などの神饌物に1~2万円です。
そして、職人をもてなすつまみや酒肴に2~3万円、棟梁へのご祝儀に2~3万円、他の大工さんには5千~1万円位が目安です。
その他一人につき5千円程度の引出物を渡す場合もありますが、省略して祝儀だけを渡すケースが多いようです。
どの程度のお料理やお酒が必要かは、地域によってさまざまですので事前に施工会社に相談し、「参加する人数」や「式の段取り」について確認しておきましょう。

上棟式の式次第は地鎮祭とさほど変わりません。
本来は祭りの最中に棟木を取り付けることが特長でしたが、近年では簡略化され、すでに取り付けられた棟木に破魔矢という魔よけの矢を飾るのが主流になってきています。
また、神主ではなく職人に儀式が任せられることが一般的となり、中には式典自体をやらなかったり、自分たちの手で済ませたりする人もいるようです。
一般的に、工事着手前は施工会社が近所の住民に挨拶回りをします。
地鎮祭を行わないとしても、直接ご近所さんへ「これから工事が始まりご迷惑をかける旨の挨拶」に行く機会になります。
信仰のない人にとっては、地鎮祭や上棟式などの儀式は意味のないものだと感じるかもしれません。
もし仮に、行わないからといって職人さんたちが仕事の手を抜くことはないでしょうが、家づくりに携わる職人さんたちというのは、常に危険と隣り合わせの仕事をしていることから縁起を担ぐ人が多いです。
工事の無事を祝う儀式を取り行うことで、工事関係者があらためて身をひきしめられるいい機会になるのかもしれません。
近年地鎮祭や上棟式を割愛する人もいますが、ぜひとも行なってほしいと思います。
なぜなら「自分の人生をもう一度心新たにしてくれる」という地鎮祭の不思議な魅力があるからです。
家族のこと、これからの将来のことを祭壇の前で想像してください。
家を持つうれしさと感謝の念が自然と込み上げてくると思いますよ。
最近では、地鎮祭の直会は、現場ではなく近くのレストランで行なう人も増えています。
家づくりがやや工業化されてきましたが、最終的には職人さんの手による作業がまだまだ多いのです。
上棟式では、職人さんとの交流からより良い関係を築ければ、本当に質の高い家ができます。
地鎮祭と上棟式は神様が与えた人と人とのふれあいの場なのだと思います。
それでは!また!!